配送ルートを最適化するには?作成時の課題と対処法
物流業界における課題と解消効果を見込める4つの施策を紹介
- 物流
物流業界における課題
現在物流業界には多くの課題があり、現状が続けば事業存続はおろか、業界全体が揺らぐとまでいわれています。中でも、ドライバーをはじめとした人手不足やコストの増加、過酷な労働環境は大きな問題です。まずは物流業界が置かれている現状を把握しておきましょう。
人手不足
物流業界では、ドライバー不足が深刻な状況にあります。人手不足なのに求人が集まらないという企業も多いでしょう。しかし、今後さらに人手不足が加速すると見込まれています。
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)がまとめた「ロジスティクスコンセプト2030」によると、ドライバーの数は1995年をピークに減少を続けており、2020年以降の10年間では、3割減少すると予測されています。
その背景にあるのが少子高齢化です。物流業界はほかの産業に比べて高齢化が進んでおり、平均年齢は40代後半で産業平均よりも3〜6歳ほど高くなっています。一方、次世代の担い手となる若手の就業率が低く、将来的な人員確保が課題です。
さらに、2024年度からは、時間外労働に年間960時間の上限制限がなされることも懸念材料です。労働力が不足するだけではありません。長時間労働で収入を確保できていたドライバーは、残業時間が減れば収入も減少します。そのため、業界からの人材流出を引き起こすおそれがあると考えられています。
物流コストの増加
物流コストの増加により、利益構造が悪化していることも業界の課題として指摘されています。
近年、燃料の高騰により物流業者の負担が増えていますが、その負担をさらに大きくしているのが配送の小口化です。
近年のEC市場の拡大により、物流業界の市場規模は拡大したものの、個人宅への小口配送が増加しています。小口配送は大口配送に比べて多くの人手を必要とするうえ積載率の低下を招くため、利益が圧迫されているのです。
加えて、個人宅への宅配は、不在による再配達も一定割合で発生するので、再配達分のコストが上乗せされることになります。
個人宅配での再配達問題については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
再配達問題の原因と解決策まとめ!1回で受け取ってもらうためにできること
過酷な労働環境
ドライバーの過酷な労働環境も物流業界の大きな課題です。
もともとドライバーの労働環境は、長距離移動時の深夜労働や長時間労働が常態化しています。さらに、近年のEC市場拡大により、翌日配送や送料無料などを売りにしている企業が増加しているため、ドライバー側への負担増加が顕著です。
その一方で、賃金はほかの産業よりも低く、重労働の割には賃金水準がともなっていないことが問題視されています。
2024年度からの時間外労働の上限設定に加え、行政では「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を見直す動きが出てきていますが、企業側での改革も求められています。
【物流業界】課題解決への効果的な施策
物流業界の課題を解決するために、多くの企業で環境の整備や業務効率化など、さまざまな取り組みが行われています。ここからは、解決に向けて効果的な施策を4つ紹介します。
労働環境の整備
ドライバーの人手不足解消には、労働環境の整備が有効です。ドライバーの労働時間が長く、環境が悪化している場合は見直しましょう。
過酷な労働環境を改善すれば、現職ドライバーの離職防止や新規採用者の増加にもつながります。若手の採用が叶えば、ドライバーの高齢化問題も解決できるでしょう。
労働環境の整備には、自社ドライバーの働き方を正確に把握する必要があります。実際の運行時間はもちろん、業務に付随する荷待ち時間や積み下ろしなどの時間も含めて、調査を行いましょう。
問題が見つかった場合には、どの業務過程が要因になっているかも把握し、長時間労働が発生する環境を改善していくことが重要です。効率的なルート選択や荷待ち時間の減少が実現すれば、ドライバーの長時間労働も改善されます。
また、ドライバーの待遇を改善するのもひとつの方法です。近年では、給与の見直しや福利厚生の充実を図る企業も増えているので、あわせて検討する必要があります。
業務の自動化
人手不足を解消するには、業務効率を上げるのも有効です。自動梱包機や自動封函機、物流ロボットなどを活用して自動化を図れば、必要な人員は少なく済みます。
近年では、入出庫から搬送まで自動化する自動倉庫や、受注業務や書類作成などの事務業務を自動化するRPAなども導入されるようになってきました。
業務が自動化されれば、ドライバーの積み下ろしの負担や荷待ち時間の軽減も期待できます。事業規模にもよりますが、可能な業務は自動化を検討するのもひとつの手段です。
採用対象の幅を広げる
人手不足を解消する方法として、現在募集をかけている採用対象を広げる方法もあります。
スポット専用のドライバーを採用したり、ギグワーカーに配送を依頼したりすることが有効です。配送量が増加したタイミングなど繁忙期をはじめ集中的に人手が必要なときにも対応しやすくなります。ドライバーをはじめ現場の負担を軽減することも見込めます。
デジタルの活用
物流システムやツールなどを活用すれば、業務の効率化が可能です。物流システムには、大きく分けて以下の種類があります。
・WMS(倉庫管理システム):入出庫に関するデータを管理
・TMS(配送管理システム):配送完了までのプロセスを管理
・運送管理システム:輸配送計画の作成
・貨物追跡システム:荷物のリアルタイム追跡を実現
このうち、ドライバーの業務効率化や労働環境改善に直結するのが、リアルタイムで配送の進捗を管理できるTMSや配送ルートの最適化が行える運送管理システムです。配送にかかる時間の削減や適正な業務量の管理が可能になり、ドライバーの負担軽減につながります。
配送業務のデジタル化をお考えなら、GODOORの導入をご検討ください。
GODOORは、ゼンリン住宅地図・カーナビ・荷物管理機能がひとつになったラストワンマイル配送業務効率化ツールです。ドライバー専用アプリをスマートフォンにダウロードして利用します。これまでドライバー各自で確認していた積み込み時の荷物情報は、Web上のバックオフィスにて管理者がPCから一括登録し、担当ドライバーに割り当てることが可能です。これにより、ドライバーは割り当てられた荷物の詳細やと配達先情報をアプリの住宅地図上で確認できます。カーナビへの目的地入力を都度行う必要もなくなるため、配送業務の効率化が実現できます。
また、荷物の配達ステータスやドライバーの配達状況を管理側でリアルタイムに確認でき、顧客からの問い合わせにも迅速に対応できます。
さらに、GODOORは外部システムとの連携にも対応しています。業務規模に合わせたアカウント発行も可能ですので、ドライバーの労働環境改善や業務効率化をお考えなら、ぜひGODOORの利用をご検討ください。
まとめ
物流業界は、ドライバー不足や過酷な労働環境、コストの上昇など多くの課題を抱えています。課題を解消するには、まず自社の現状を把握し、改善点を見出すことが必要です。稼働状況の確認や現場のヒアリングなどを実施すると良いでしょう。
業務効率の改善を目指すなら、配送業務のデジタル化がおすすめです。荷物管理はもちろん、ドライバーのラストワンマイル業務の効率化が可能です。ドライバーの労働環境改善や人員不足の解消にも役立ちます。