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物流コストを削減したい!効果を見込めるアイデアを紹介

物流コストを削減したい!効果を見込めるアイデアを紹介

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物流コストが上昇する原因

物流コストは、大きく以下の5つに分類されます。

輸送費

燃料費・配送にかかる人件費・車両費

保管費

倉庫の賃貸料・光熱費・保険料

荷役費

入出庫にかかる人件費・運搬機械の維持費

管理費

物品管理にかかる人件費やシステム費

包装費

梱包資材や梱包に関わる人件費

近年の物流コストの上昇に直接影響している大きな要因は、輸送にかかるガソリン価格の高騰です。ガソリン価格は、2021年後半から以下のような要因が複合的に重なり、上昇が続いています。

  • 世界的な原油需要の急増に、産出国の生産量が届いていない
  • ロシアのウクライナ侵攻によるロシア産原油の輸入規制の影響
  • 円安ドル高による輸入価格の上昇 

しかし、物流コスト上昇の要因はガソリンの高騰だけではありません。物流業界が潜在的に抱える、以下のような問題の影響も大きくあります。

ムリ・ムダ・ムラが多い

ムリは作業量がキャパシティより多い場合に、ムダはキャパシティが作業量を上回る場合に発生します。ムリ・ムダが繰り返されればムラが生じ、効率的な運用ができません。

ムリやムダをなくすには、作業量とキャパシティを適切に保つことがポイントです。具体的には、以下のような施策が挙げられます。

  • 作業動線を見直す:動線の短縮化で効率アップ
  • 工程を見直し、単純作業化する:作業ミスの減少、作業のスピードアップ

現場では、ムリ・ムダ・ムラが長年の習慣として根付いているケースもあるでしょう。コスト削減のためには、現場の意識を改革していくことも考えなければなりません。

ドライバーが不足している

年々深刻になるドライバー不足も、物流コストが上昇する一因です。

道路貨物運送業の規制緩和が行われた1990年および2003年以降、ドライバーの労働環境が悪化しています。業界からの人材流出を招き、ドライバー数は減少に転じています。

さらに、少子高齢化による人材不足の進行も深刻です。特に大型免許が必要で拘束時間の長い長距離輸送では若年層離れが進んでおり、ほかの産業よりも高齢化のペースが速く、将来的にさらなる減少が予測されています。

ドライバー人口は2027年には24万人が不足するという推計もあり、物流が立ちいかなくなるおそれもあるともいわれるほどです。

また、2024年度から時間外労働に上限規制が適用される、通称「2024年問題」も、ドライバーの供給不足を加速させるといわれています。

ドライバーの労働時間は全産業平均よりも長い傾向にあり、長時間労働が常態化している企業もあります。労働時間が短くなれば、ドライバーの労働環境は改善されます。しかし、これまでと同量の業務をこなせなくなるため、追加の人材が必要です。

さらに、労働時間の短縮は、既存ドライバーの離職を進める要因にもなります。これまで長時間働いていたドライバーは、時間外労働に上限がかかることで結果的に収入が減少するためです。

このような背景から、将来、需要に見合うドライバーの確保はさらに困難になるでしょう。ドライバーの労働環境改善を図るための人件費増加で輸送・運搬費を値上げする企業も増えているため、コストはさらに上昇すると見込まれています。

積載効率が低下している

近年、EC市場が拡大を続け、物流においては消費者のニーズに合わせて小ロットで出荷するなどの対応に迫られています。

国土交通省「全国貨物純流動調査(物流センサス)」によると、1990年から2015年の25年間で貨物1件あたりの貨物量は1件あたり2.43tから0.98tに半減する一方、物流件数はおよそ1,366万件から2,261万件と小口多頻度化が進んでいます。

多品種・小ロットでの輸送は積載効率の低下を招き、コストが上がる要因です。

また、輸送頻度が増加すれば、適切なサイズのコンテナが間に合わず大型のコンテナで運ばざるを得ないこともあり、さらに積載効率が悪化します。

膨張する物流コストを削減する方法

膨張を続ける物流コストにより、利益が圧迫されている企業も増えています。コスト上昇の原因は今後も継続する要素が多く、将来的にもさらなる上昇が見込まれています。少しでもコストを削減する方法はあるのでしょうか。

物流コストを削減するには、単価の見直しや拠点集約、業務の効率化などが有効です。それぞれどのような施策が可能なのか解説します。

方法1.物流単価を見直す

まず実施したいのが、現在の物流単価の見直しです。

物流単価は変動しています。現在の取引先の輸送費や保管料、倉庫作業料などを他社と比較し、相場よりも高額であれば単価を交渉すると良いでしょう。場合によっては取引先の変更も検討する価値があります。

いずれもわずかな金額であっても、見直すことで大きくコスト削減が可能です。

方法2.物流拠点を集約させる

 物流コストの膨張は続いているため、すでに単価の見直しは実施済みでこれ以上は困難という企業もあるでしょう。

 物流拠点が複数ある場合には、拠点を集約させるのもひとつの方法です。

 拠点が増えると、それだけ賃料や管理費が発生します。集約させられれば、これらの維持費用を圧縮可能です。

ただし、拠点が減少すれば、配送先によって輸送距離が長くなってしまうデメリットもあります。かえって輸送費が高くついてしまうこともあるため、十分なシミュレーションのもと実施を検討する必要があるでしょう。

方法3.作業の効率化を図る

コストの削減には、作業の効率化を図るのも有効です。作業の効率化には、物流管理システムの導入も検討してみましょう。また、作業内容の見直しや改善に取り組むのも効果が期待できます。

物流管理システムを導入する

ガソリン代の高騰に対応するためにも、物流管理システムを導入している企業も少なくありません。ムリ・ムダな配送運行を減らしたり、積載量を最適化したりすることで使用する燃料を抑えられるので、コスト削減にもつながるでしょう。 

また、物流管理システムを用いて、管理業務の属人化を解消に努めることも可能です。テクノロジーの発展により、AIを搭載するシステムもあり、一部の業務を自動化している企業も増えています。

作業内容を見直し・改善する 

業務の効率を上げるには、非効率的な作業の見直し・改善も必要です。現場からのヒアリングを基に、問題点をピックアップし、改善方法を検討してみましょう。

例えば、倉庫内作業でムダな動線が発生している場合には、レイアウトや作業工程の改善で解決できる可能性があります。

また、配送ルートの選択が適切ではなく効率的に行えていない場合には、ラストワンマイル業務にあたるベテランドライバーの勘や経験を集約して可視化し、教育に活用する方法が有効でしょう。

業務を効率化させるには、業務連携をスムーズにすることや、業務フローの見直しも有効です。明確でない部分は、マニュアルやルールを策定するのも良いでしょう。これらはコストの削減だけでなく、ドライバーの業務過多や非効率的な業務の軽減にも役立ちます。

まとめ

ガソリン代の高騰やドライバー不足により、物流コストの上昇は今後も継続していくと考えられます。コスト削減には、少しでも業務の効率化を目指すことがポイントです。単価の見直しや拠点集約、作業を効率化できないか、自社の課題を洗い出してみましょう。